ぼく自身、よくお店でも食べるし、レバーが好きなので最高に美味しい作り方を紹介します。
最近のお店は、お酒を効かせず、塩気も薄く、レバーペーストなのに「レバーの味」で勝負してきます。
正直くっそ不味いです。
美味しいレバーが食べたければ、ぼくは焼き鳥に行きます。パテやペースト状にしてあるだけのレバーを、バルサミコソースで誤魔化したものなんていりません。
フレンチでわざわざレバーを食べるのは、レバーが好きな人だけ。
フランス料理の強みは、使いこなせるお酒の種類でしょうに。なんでもかんでも素材任せは気にくわないですね。
文句っぽくなりましたが、そのくらいレバーペーストが好きということ。
ちなみにレバーペーストは茶色とピンク、2種類あります。
茶色はレバーを炒めて撹拌したもの、ピンクは生のレバーを蒸し焼きしたもの。
好みは分かれますが、ぼくはピンクの方が好き。独特のねっとり感と香りはレバーならでは。
レバー好きのプロが作る、レバーペースト。
美味しいに決まってますよね?
材料
(ココット3~4個 レバー1パック分)
鶏レバー 200g
無塩バター 100g
塩 4g
砂糖 2g
スイートマデラ 30g
コニャック 20g
白ワイン 20g
卵 1個
ローリエ 1枚
プロが教えるポイント

レバーペーストはお菓子作り
レバー「ムース」とも言われるように、お菓子と同じで計量命。
レバーペースト然り、パテ然り、肉を使った前菜はしっかり塩の配分、酒の配分を決めることで美味しい料理になります。
その配分が料理の個性に直結するので、誰も教えようと思わないし、教えたくもないです。
でもぼくは、くそ不味いレバーペーストが広まるのが嫌なのでプロのレシピで紹介します。
フレンチと洋酒

赤白ワインソース、マデラソース、マルサラソース。一度は聞いたことあると思います。
フレンチと洋酒は切っても切り離せない関係で、それがフレンチの個性です。
酒の尖ったカドが出ないようにしながら、しっかりお酒の香りを感じさせることが重要。
今回使う「マデラ」も「コニャック」もあまり馴染みないかも知れませんが、どちらも大きなスーパー、酒屋さんで簡単に手に入りますよ。
そうそう悪くなるものでもないので、1本持っててもいいんじゃないでしょうか。
作り方
レバーの掃除とマリネ
臭み抜きに牛乳にとよく言われますが、ぼくは「鶏のレバー」を食べていて臭いと思ったことないのでしません。
その代わりレバーは出来るだけ鮮度のいいものを。色よく真っ赤に発色していて、プリッとしているもの。パックに血が漏れていないものを選ぶこと。

まずは滑らかな舌触りにするため、スジをとる。
ハツとレバーがくっついているようなら外す。レバーペーストにハツは使わないので、そのまま焼いて食べてしまいましょう。

真ん中にある透明なスジを取っていく。

包丁をスジの中央から、レバーに向かってこするように動かす。
包丁は少し寝かせて、スジを切らないようにこそげ取るイメージ。

何度か繰り返すとこんな風になってくる。
出来るだけスジを切らないように、レバーから取り外す。

綺麗に取れればこんな感じ。ボウルに入れておく。

取り除いたスジにもレバーはくっついているので、最後にまとめてザルで濾してレバーの入ったボウルに加えること。


レバーの重量を計る。
今回は約190g。10g程度の誤差なら気にしなくて平気。レシピ通りの塩と砂糖を加える。

軽く揉みこんで全体に馴染ませる。

マデラ、コニャック、白ワインを加えて軽く混ぜる。

上からローリエを置いて、ラップを落とし、冷蔵庫で1日マリネ。

レバーとバターを乳化させる
レバーだけでは、ねっとりした滑らかさは出ません。油分を加えることであの食感は生まれます。
本当は豚の背脂を使いますが、野性的な味すぎてあんまり好きじゃないのでバターで。
バターを溶かす。鍋でもレンジでもいいので、完全に溶かすこと。
鍋を使うときは弱火でじっくり。絶対に焦がさないように。

ローリエを取り除いたレバーを、マリネした液体ごとミキサーに入れ、卵を加える。

ムラが出来ないように、30秒以上しっかり回す。

溶かしたバターを3回に分けて入れる。最初が一番混ざりにくいので、気持ち少なめに。

30秒以上ミキサーを回して、乳化させていく。
しっかりと乳化させることが重要なので、ミキサーは徹底的に回すこと。
最初はこのくらいシャバシャバ。

しっかりミキサーを回してからバターを加えていけば、ゴムベラにつくレバーがモッタリしてくる。
ゴムベラについたレバーとバターが分離していないか見てから、次のバターを加えて回すこと。
これで2回目のバターを加えて混ぜたところ。

3回目。
2回目にバターを加えた時より、濃度が出ているはず。

出来たらボウルに濾して入れる。

綺麗に乳化すれば、この通りトロトロした濃度。
ドレッシングなんかと一緒ですね。

ココットや耐熱容器に入れる。
火の入りを同じにするため、液体の量は出来るだけ同じ高さに揃えること。ひとつずつアルミを張っておく。

レバーペーストの焼き方
オーブンを120度に予熱する。
深めのバットや耐熱皿にココットを並べる。バットには型を動きづらくするため、クッキングペーパーを敷いておくこと。

60~70度くらいにお湯を沸かす。
鍋底全体が細かく泡立ってきたら、だいたい60~70度。

ココットの高さの1/3まで、1、2cmくらいお湯を注ぐ。型が浮かない程度にたっぷり注ぐこと。
オーブンに入れて20分加熱。

20分経ったら一度確認。

表面を軽く押してみる。
プリンのような感触で、力を入れたら潰れそうな柔らかさ。触った場所もはがれ、指にくっついてくる。


これだとまだ生なので、もう少し加熱。今回は追加で8分オーブンに入れました。
今度は軽く触ると弾き返されるような弾力。強めに押しても潰れず、指にも付かない。


この感触があれば火は通っています。少し火を入れすぎたかなくらい。

バットから取り出し、網に置いて粗熱を取る。
綺麗なピンク、なかなかじゃないですか。

ココットの底を触って熱くなければ、ラップをして冷蔵庫で保存。


最低でも1日はしっかりと冷やすこと。
意外と多いレバーペーストの使い道

サクサクに焼いたメルバトーストと甘いバルサミコソースは鉄板ですね。
白、黒問わずコショウもよく合います。今回は香りのいいピンクペッパーで。
作って1日目だとまだ少しモソつきますが、2、3日するとしっとり味が馴染んで美味しくなります。
他にもバターを塗ってレタスを挟んだバゲットに、たっぷりのレバーペーストとピクルスを入れれば、フランスらしいサンドイッチ。
ドレッシングで和えたサラダに乗せても美味しいです。お店で「サラダ・グルマン(美食家風サラダ)」に入ってることもありますね。
レバー好きのための、余計なモノをいれない、レバーだけのレバーペースト。
お店レベルのレシピです。レバーペースト好きじゃないな、と思っている人にも自信をもってオススメします。