パウンドケーキ、パンやクッキーに入っている鮮やかな緑が特徴的なアンゼリカ。
毒々しいまでに鮮やかなドレンチェリーとアンゼリカの組み合わせは、一度は見たことあると思います。
スーパーでも仲良く並んで売ってますよね。
でもあれ、実は本当のアンゼリカではないんです。
実際はフキの砂糖漬け。アンゼリカに味も形も似ていますが、まったくの別ものです。
フキとアンゼリカの違い
フキはキク科の植物。
アンゼリカはセロリやパクチー、フェンネルなどの香りが特徴的なセリ科の植物です。
味も似てますが、アンゼリカはネズの実(ジュニパーベリー)のような、スーッとスパイシーな香りが特徴的。
その独特な香りからジンやアブサン、薬草リキュールのシャルトリューズなんかにも使われてます。
「フキらしさ」のあるアンゼリカを
市販されているものはフキの味がわからないくらい、かなり糖度が高くねっとりしたもの。
せっかく手作りするなら、フキの香りや食感を生かして作りたいものです。
今回のレシピは一般的なアンゼリカとは違い、ぼくが食べたい、こんなものがあればきっと美味しい。
そう思って作ったものです。
そのままで美味しいのはもちろんのこと、この香りと歯ごたえはお菓子に入れると活きるはず。
もう旬も終わり。そこまで状態の良くない、アクが回っているだろうもので作りました。
ですがエグミもなくフキの香りが良いものが出来たので、来年は鮮度のいいもので作りたいですねー。
プロが教えるポイント
苦味の原因は、デトックスで有名なアレでした
フキのアク抜きは、板ずりしてから塩ゆでが一般的。
塩の力で発色はよく、きれいな緑色がでます。
でも板ずりすれば、浸透圧でアクと一緒に香りも抜ける。茹でれば余計な水分を吸ってしまう。ぼくの理想とは違うのでやりたくない。
アクが何由来なのかすら分かればなあ。と思って調べたところ、
アクの成分はクロロゲン酸で、ポリフェノールの一種なことがわかりました。
ポリフェノールはもちろん、体に良いアク。デトックス、痰や咳止めでも有名ですね。
また水溶性なので、水にさらせば問題なくアクは抜けます。
今回は食べていて不快じゃない程度に、最低限の嫌なエグミを取りのぞくことでアク対策としました。
参考:フキの雑学(2) – フキのアク抜きは、どれが正しい?
材料
フキ 1束
レモン 1個
砂糖 フキの重量の30%
作り方
フキは10cmくらいにカットして、良く洗う。

ボウルやバットにたっぷりの水、1/2のレモンをスライスし軽く潰して入れる。

冷蔵庫で1日置いてアク抜き。
香りが抜けすぎないように、アク抜きは皮ごと。
1日後。
繊維に沿って皮を剥く。
包丁を使ってバナナみたいに剥いて、まとめて指でスーッと引くと簡単。



ザルで水気をきる。
鍋にフキ、重量の30%の砂糖を入れしっかり混ぜ合わせ、フタをして1時間置いておく。


1時間後。水分が出てくる。
1/2程度フキが浸かるくらいの液体が目安。

なめても嫌なエグミはなく、レモンのおかげで爽やか。
強火にかける。
一度沸かしたら軽く沸くくらいの弱火にして、たまに混ぜながら5分加熱。

シャキシャキした食感がなくならない程度に火を入れるのがポイント。
5分したらフキだけを取り除いてタッパへ。

シロップを沸かして煮詰める。大体半量くらい、トロっと濃度が出てきたら火を止める。


鮮やかな緑にしたい場合はここで色粉を。
フキを入れたタッパに注いで、残りのレモン1/2をスライスし上において香り付け。
アクの成分はポリフェノール。フキの変色はリンゴが変色するのと同じ理由なので、レモンで変色防止も兼ねます。
上からラップを落として、粗熱が取れたら冷蔵庫へ。

1日置けば完成です。

砂糖漬けにする場合は1日経ったら網に乗せ、冷蔵庫で表面を乾かす。


グラニュー糖で覆って保存し乾燥させます。

漬けたシロップは嫌な香りもなくてさわやか。美味しいですよ。

使い方
今回どうしてもアンゼリカを作りたかった理由は、ヌガーグラッセが作りたかったから。
イタリアンメレンゲで作る、フランスのアイスです。ナッツやドレンチェリー、アンゼリカなどが入ったザクザクねっとりしたお菓子。
そこにシャキっとした食感があれば美味しそうだと思いまして、今回は手作りしました。
レシピはまた今度。